シマ・シンヤ『グリッチ』KADOKAWA 全4巻
以前、このブログでもシマ・シンヤさんの『ロスト・ラッド・ロンドン』について、ご紹介しました。
『グリッチ』は、その後の新しいシリーズです。
2023年7月に発売された4巻で完結しました。
このシリーズですが、全巻の帯に同じ文言が並んでいます。
「新感覚・ストレンジ・ジュブナイル」。
ストレンジは、変わっているとか、奇妙という意味があり、ジュブナイルは、少年少女や、子ども向けの本という意味があります。
「今までにない感覚を味わえる、奇妙な、子ども向けの本」
この文言じゃ、読みたくならない。
翻訳やコピー能力のなさをさらけ出しました。
前作の『ロスト・ラッド・ロンドン』(全3巻)も「新感覚」って表現されていました。
このブログでも感想を載せています。よろしければこちらから。
たしかに、日本のマンガとは違う感覚なんですよ。
効果音の表現とかが、ほとんどないからかな、と思いました。
あと、絵の表現がシンプルというか。
静かに物語が進んでいく感じ。
登場人物たちは、けっこう表情豊かなんですけどね。
これは、百聞は一見にしかず。
ぜひ読んで欲しいです。
『グリッチ』は、どんな内容?
ミナトとアキラが、母親と一緒に越してきた町で出会った女の子たちと、町の謎や不思議を調べていくお話です。
見える子か、見えない子か。
その町は、一見すると人ではない人たちが、普通に暮らしています。
住民も、それをあまり疑問視せずに受け入れている感じ。
そんな町で、アキラが出会った生き物がきっかけで、町の謎を調べることになります。
少し気になったのが、この作品に登場する主要人物たちには、父親と母親の二親が揃った子どもの家庭がでてきません。
父親だけ。
母親だけ。
保護者は二人いるけど、同姓同士など。
このご時世で、特に珍しいことでもないとは思います。
ストーリーにあまり関係してこない部分でもありますが、それが当たり前のように生活に溶け込んでいて、子どもたちも自然に受け入れています。
そういうことが違和感なく、さりげなく盛り込まれているところは、すごいなと思いました。
あと、登場する子どもたちがクールというか、あっさりしています。
大人の方が、ちょっと子どもっぽい感じ。
特におまわりさんのシノダ。
シノダのタダビトぶりに安心感を覚えました。
あと、ヒラタさん。
ヒラタさんが好きです。
シノダですら表紙に登場していたのに、ヒラタさんがいないと思ったら、4巻にいたっ。
あと、カバーイラストの色味とか、各巻の帯の背に、一言ずつ台詞が載っているんですが、そんな造りも好きです。
『グリッチ』は、どんな人におすすめ?
- 「新感覚」を味わいたい人。
- SFとか、不思議なお話が好きな人。
- クスリと笑いたい人。
- 妄想を膨らませて、楽しめる人。
余談
実は『グリッチ』と一緒に『ガッツィ・グリティ・ガール』という作品も購入しました。
同じくシマ・シンヤさんの作品です。
こちらは短編集で、なかなかに不思議なお話が詰まっています。
女性がメインのお話が多いですが、インコや電球(?)も出てきます。
なんか好きです、シマ・シンヤさんの作品。
『グリッチ』4巻のうしろのページに、新連載のお知らせがありました。
タイトルは「Void:No Nine 9番目のウツロ」だそうです。
私は単行本派なので、きっと読めるのはもっと先。
でも、今から楽しみです。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございます。