シマ・シンヤ『ロスト・ラッド・ロンドン』KADOKAWA
こちらのマンガは、3巻完結の「新感覚クライム・サスペンス」(各巻の帯より)です。
「ロンドン市長殺害事件、容疑者は自分」(1巻帯より)
「アリバイなし、時間なし、味方あり」(2巻帯より)
「見えてる悪意。見えない善意。一歩先の殺意」(3巻帯より)
これらの言葉だけでも、なんか気になりませんか?
気になった私は、当時同時発売だった①②巻をすぐ買いましたっ。
買う喜びと、読んでいるときのドキドキ感、そして読み終わってからの満足感。
この流れで一冊もしくはシリーズを読み終えることができるのは、嬉しいことです。
どんな内容?
ロンドン市長が地下鉄で殺害され、同じ時間の同じ電車を使っていた大学生のアルは、自分が容疑者になり得ることに気づきます。
そこへ、刑事エリスが訪ねてきて、2人で市長殺害事件の真相を探ることに……。
事件解決ということだけにスポットライトを当てるだけではありません。
登場人物をとりまく環境や過去、同僚たちを描くことにより、人種や性別の差、そのほか人が抱える言葉にできないわだかまりのようなものも表現されています。
読んでいて、自然と読者に読み取れるようなつくりかたです。
「洗練されている」というのでしょうか。
![1ミリ](https://shoten-in-no-sasamegoto.com/wp-content/uploads/2023/04/efea80cced878bb80507aeb0c94fa8f6.png)
1ミリ書店員の解釈です。
本の良いところは、読む人によって色んな楽しみ方があるということです。
あとは、なんといっても登場人物のエリスが好きです。
エリスとアル、エリスと同僚のユキ、エリスと写真を照合にかけてくれた警察のおじさん(名前分かりません)の、エリスとの掛け合いが好きです。
真面目な話をしているのに、一瞬入りこむ「おちゃめ」なところは、お気に入り。
少しでも気になる方には、ぜひ読んでもらいたい!
さあ、本屋へGO!
作品の印象
シマ・シンヤさんの作品との、はじめての出合いは勤務中でした。
レジ業務しているときに、本の表紙が目に飛び込んできたんです。
(物理的にではないですよ)
表紙の絵のインパクトは大きかったですね。
マンガなのでもちろん絵は重要ですが、海外のコミックかと思うような雰囲気を感じました。
私と同じようなことをおっしゃっている方のツイートなどを発見し、激しく同意。
気になって色々調べてみたら、「スター・ウォーズ ザ・ハイ・リパブリック」というシリーズの「The Edge of Balance」でシマ・シンヤさんがマンガ原作にも関わっておられるようです。
海外コミックの雰囲気を感じる要因として、海外の文化やコミックが影響しているのでしょうか。
日本とか海外とか関係なく、さまざまな文化に触れていらっしゃるのかもしれませんね。
そういうことが関係しているかどうかはさておき、シマ・シンヤさんの絵は、オシャレなんです。
もちろん、ただオシャレなだけではないですよ!
物語あってのマンガ。
いや、絵があってのマンガ。
いやいや、どっちも揃ってのマンガなんですから。
実は、シマ・シンヤさんの絵を見たときに、オノナツメさんの作品を連想しました。
オノナツメさんの作品を読んだのはかなり前なので、改めて(もしくは新作)読もうと思っています。
絵が似てるというわけではなく、作品がまとう雰囲気に似たものを感じた、といったところでしょうか。
スタイリッシュで、映像的な表現というか。
やっぱり、オシャレ。
『ロスト・ラッド・ロンドン』はコマ割が複雑ではなく、シンプルで淡々と静かに進む感じです。
それが余計に映像を思わせるのか……。
今の私の語彙力では、ここまでです。
![1ミリ](https://shoten-in-no-sasamegoto.com/wp-content/uploads/2023/04/efea80cced878bb80507aeb0c94fa8f6.png)
なんか「オシャレ」しか言ってない。
あと、シュッとした感じ。
1ミリ豆知識
マンガのコマ割に、映像的な表現を取り入れたのは、マンガ・アニメーション界の巨匠・手塚治虫氏です。
現在、日本の代表的な文化として、海外に認知されているマンガやアニメーションの発展は、手塚治虫氏なくして語れません。
豆知識としておきながら、手塚治虫氏に関して、1ミリ書店員が語れることは、たかがしれています。
詳しく知りたい方は、「手塚治虫TEDUKA OSAMU OFFICIAL」へ。
あとは、手塚治虫氏の作品を読むのが一番ですね。
![1ミリ](https://shoten-in-no-sasamegoto.com/wp-content/uploads/2023/04/efea80cced878bb80507aeb0c94fa8f6.png)
私は『新撰組』が好きです。
どんな人におすすめ?
- 海外のグラフィックノベルが好きな人。
- 「新感覚」を味わいたい人。
- 変わったおじさんとクールな若者の掛け合いでクスリと笑いたい人。
- ミステリやサスペンスが好きな人。
余談
実はブログを始めようと思ったときに、書店員がつくるブログなら本紹介は必須なのか? と悩んでいました。
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つたないながらも、結局やっちゃってます。
どうせやるなら紹介したいと考えていた作品のひとつに、『ロスト・ラッド・ロンドン』が入っていました。
実現できて良かったです。
ちなみに、英語版とフランス語版が発売されているようです。
今回の『ロスト・ラッド・ロンドン』の再読がきっかけで、『Gutsy Gritty Girl -ガッツィ・グリティ・ガール-』と『GLITCH -グリッチ-』(①~③、④7月発売予定)も購入しました。
『GLITCH -グリッチ-』の帯にも、「新感覚・ストレンジ・ジュブナイル」という言葉があり、これも「新感覚」なのか! と、すでにドキドキしています。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございます。