こんにちは。
2024年になって最初の本の感想です。
お待たせしました!
え、待ってはおられなかった?
そうですね、ミーニーザーの1ミリ書店員です。
八木沢里志『森崎書店の日々』小学館文庫
簡単な内容説明
周りに内緒で職場恋愛していた貴子が、突然失恋し、仕事も辞め、無職になったところからはじまります。
一風変わった叔父が営む書店に住み込んで手伝いをしながら、書店を中心に、優しくてちょっと変わった人々と交流を重ね、少しこじれた叔父との関係や、貴子自身の心が回復していくお話です。
小説の解釈は読み手の自由といいますが、それでも的外れな理解だと作品に申し訳ないと思い、書籍や出版社のホームペーに掲載のあらすじを拝借しておりましたが、今年からは、自分の言葉でお伝えしていきます。
がんばる。
『森崎書店の日々』を読んだ感想
読後すぐ感じたことは、一服のお茶だなということでした。
温かいお茶を飲み、「あったか~い」と感じて、はじめて自分の身体が冷えていたことに気づいた、そんな作品でした。
ほっとした、ということでしょうか。
切った貼ったの七転八倒や、世界を揺るがす陰謀がうずまく作品ではありません。
電車の隣の座っていた人が、こういう経験をしていてもおかしくないような、ある人の日常を切り取った作品だと思いました。
まあ、古書街で店を経営している親戚がいる人がどのくらいいらっしゃるかは、横に大事によけて置いておきますが。
文章も読みやすく、登場人物もそれぞれ魅力があり、最初は寝てばかりの貴子から、世の中に対してふてくされている感じが伝わってきて、私も同じようなことあったなと、親近感を覚えました。
特に心に残った場面は、作中で貴子が叔父に、どうしてにそんなに自分に親切にしてくれるのかと尋ねるところです。
それに答えた叔父の言葉に、私は目頭を押さえました。
ぐっ。
余り強く押すと、みかん汁がっ。
どんなことが自分の人生の起点や転換になるかは、誰にも分からないことです。
誰かや何かがきっかけで、今の自分がある。
きっとそんな経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ぜひ、皆さんに読んでいただきたいです。
単純に、読んで良かったです。
こういう作品は、絶対必要! とも思いました。
正直にいうと、現実と地続きの日常を語るお話は苦手なのです。
私にとって読書は、日常を忘れるためにしていることだからです。
そもそも現実をまざまざと見せつけられる内容は、読む気も起きないはずですが、それでも読んで、結果として素敵な作品だと思ったということは、今の私に必要な一冊だったんですね。
しばらく読みたい本がなく、読書迷子でしたが、この作品のおかげで、また読書欲が湧いてきました。
次に読む本は、すでに決まっています!
楽しみです。
『森崎書店の日々』どんな人におすすめ?
- 心に凪を求めている人。
- 心のハリネズミを大人しくさせたい人。
- 読書迷子(読みたい本が見つからない)になった人。
余談
この作品を読んで満足していたら、「続」が出ていることを知ってしまいました。
桃子さん、桃子さん。
読まなきゃ。
あ、でも、すでに積読したので、その後になる……。
でも、読みたい。
でも積読も読みたい。
あっちもこっちも読みたい。
あ、あ、……。
もっと大事なことがありました!
イギリスの本のアカデミー賞と言われている「The British Book Awards」に、こちらの作品がノミネートされているようなのです。
海外で出版となると、それぞれの国の言葉で翻訳されますよね。
手間も時間もかかるだろうと思われます。
その手間をかけても、販売したいという熱意に感動です。
またしても、みかん汁がっ。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございます。