【本の感想】動物がお客様！？　不思議な百貨店を舞台に、新人コンシェルジュが奔走する心温まる物語｜西村ツチカ『北極百貨店のコンシェルジュさん』

西村ツチカ『北極百貨店のコンシェルジュさん』全2巻、小学館

「お客様がすべて動物という謎の百貨店で働く新人コンセルジュの秋乃さん（中略）、可愛い動物たちの悩みが一所懸命な女の子の頑張りと機転で解決される、無敵に良いマンガです！」（帯より）

　2022年に第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞されています。

　『北極百貨店のコンシェルジュさん』は、1ミリ書店員がジャケ買いをして、さらに内容も満足の一押しマンガです。
　ご紹介したいと考えていた矢先に、今秋公開予定として、アニメ映画化されるというニュースを知りました！　しかも、製作はProduction I.Gです。

　2020年に2巻が発売されたときに新刊の棚で見かけて、タイトルのロゴや表紙の構図、色合い、帯にも載っていた絵の雰囲気がなんとも私好みだったんです。

　さらに、百貨店のお話なのにお客様が全て動物！　ということで、もう「買い」だなと思って、1巻も探して、いそいそとレジへ持っていった記憶があります。

　そのときについていた1巻の帯に、松本大洋さんと恩田陸さんのコメントがあり、2巻の帯には『BEASTARS』を描かれた板垣巴留さんのコメントが寄せられていました。

　それまで西村ツチカさんを存じ上げなかったのですが、シンプルな線の絵で、レトロな風合いを醸し出されていて、なおかつ登場人物（特に秋乃さん）の、表情や躍動感溢れる動きの数々を見事に描写されていて、内容はもちろんですが、これで好きにならないわけがない！　
（去り際のバックウォークが、なんか良い）
大成功なジャケ買いでした。

気になる内容は？

簡単に言うと、「新人コンシェルジュ秋乃さんの成長物語」です。
しかし、秋乃さんの失敗も成長も見守ってフォローしてくれる先輩や、サプラーイズなフロアマネージャーの「ホスピタリ茶(ティー)」に、ご来店のされる色んな動物のお客様など、数々の個性溢れるキャラクターは魅力的で必見です。

なぜ動物がお客様の百貨店ができたのか、なぜ人間がコンシェルジュなのか、いろいろと疑問を持ちながら、新人コンシェルジュの秋乃さんと一緒に、おもてなしを考えることができる作品です。

絶滅種のV(べリー).I(インポータント).A(アニマル).も登場しますが、物語を遮ることなく、絶滅の経緯も教えてくれます。

どんな人におすすめ？

不思議な世界観が好きな人。
動物が好きな人。
優しいお話が好きな人。
ただ楽しいだけではなく、心に何かが残るお話が好きな人 。

気になった方は、書店へＧＯ！

今回も、最後までお読みいただきありがとうございます。