こんにちは、相変わらず1ミリサイズの書店員です。
世間の同年代を見ると、矮小なおのれが浮彫りになって、悶々としながら、惚けています。
仕事はしてますよ。
仕事しかしてません。
他のことをやる気が起きませんからね。
もう少しお金に執着する人間だったなら、と思ったことが塵のごとくありますし、後悔もありますが、まあ、仕方ありません。
私が選んできた道です。
そして彼らもまた、それまで生きてきた人生があり、その経験から、選び取った結果に思い悩むことはあっても、後悔はなかったのではないでしょうか。
そんな男女の愛のお話を読みました。
平野啓一郎『マチネの終わりに』文春文庫
『マチネの終わりに』は、どんな内容?
三十代・四十代の男女の愛のお話です。
天才ギタリストの蒔野聡史と、婚約者がいる国際ジャーナリストの小峰洋子が、実際に会って話したのは、3回。
たったそれだけなのに、お互いを深く理解し合い、この先の人生を共にするのはこの人だと、歩み始めようとするも、上手くいかず……、というお話です。
本の内容を伝えるのに、……で逃げました。
だってこれは、読んで欲しい!
色々な感情が沸き上がります!
『マチネの終わりに』を読んだ感想
作品の内容からは逸れているかもしれませんが、三十代・四十代になると、自分と社会の関係が、一定の形に収まろうしてくるなあと、思いました。
そのせいで、むちゃなことができない。
自分のことだけを考えても許された頃とは違って、和を乱さぬように深読みをするクセがつくのではないでしょうか。
相手に嫌われたくないとか、相手からどう思われるかはもちろんですが、相手がどういう考えをもとに、そう言ったのか、を考えてしまいます。
正直これは、年齢関係なく誰でもそうかもしれません。
ただ、物わかりの良い人間でありたいとか、無様な自分になりたくないという気持ちが、年を重ねるごとに強くなるのではないかと思います。
いや、若くてもそうかな?
性格の問題か?
そういうことが身に染みてくる作品でした。
もちろん、それだけではありません。
芸術家の苦悩や、ジャーナリストとしての活動で負った心の傷、世界情勢など、考えさせられることがたくさんありました。
蒔野のことを想う女性が出てくるのですが、「嫉妬」という一言では表せない感情には、読みながら「分かるけど、分かりたくない」気持ちになりました。
一生これを抱えて生きていくのかと考えたら、私なら耐えられません。
最後はあの終わり方で良かったです。
なぜなら、私は色々明るい方に考えて、気持ちをすっきりさせることができました。
だって、もやもやしてた。
ずっと。
どんな人におすすめ?
三十代、四十代の人に読んでもらいたいと思いましたが、十代からそれぞれの年代で読んでいくのが良いかもしれません。
作品に対する考え方が変わると思うので、その変化を楽しめる作品だと思います。
余談
相変わらず、上手いこと言えてません。
作品への掘り進め方が足りないだろうことは重々承知しておりますが、何かを語るって、簡単じゃないなと、いつも思います。
書評とかできる人ってすごい。
ホントに私のはただの感想です。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございます。