こんにちは。
5月もそろそろ終わります。
新社会人の若人たちは、五月病になっていないでしょうか、心配です。
G.W.という世間様の連休は、誰も彼もが3割増しで楽しそうに見えます。
そんななか、生真面目に連日仕事と向き合っていた自分を理解出来ません。
自分を見失っています。
「みんなが休みなら、私だって休んだら良いのよっ!」
1ミリ書店員です。
紙やWebの小説やらコミックやらを、色々な隙間時間にそれぞれ読み始めると、同時進行中のお話がたくさんできてしまって、内容が混ざり合っていることがたまにあります。
それでも読み始めると、「ああ、こんなお話だった」と思い出せる今のうちに、時間を惜しんで本を読もうと思います。
読書スピードは遅いんですけど。
今回は、寺地はるなさんの『やわらかい砂のうえ』を読みました。
最近、何がきっかけで読もうと思っていたのかが、全く思い出せない本がたくさんあって、今回の本もそのうちの一冊。
何かで聞いた、読んだから知ったはずなので「どこかの誰かのおすすめ」なんですけど、読んだ後に自分にとって心に残る一冊になった場合、いったい誰が私に指し示してくれた本なのかが気になって仕方がない。
身近な人なら、「あの本読んだよ」って言いたいし、その人からおすすめされる本は、全部好きかもしれない!
昔は、些細なことでも結構覚えていたんですけど、最近めっきり記憶力が減退していうようで。
良い本に出合うチャンスを自らつぶしているのかっ。
これから読みたいと思った本の「きっかけリスト」とかつくった方がいいんですかね。
寺地はるな『やわらかい砂のうえ』祥伝社
どんなお話?
大坂で働く駒田万智子が主人公です。
それまで生きて身につけてきた価値観が、まだまだ堅く閉ざされたつぼみのようなもので、年齢や職種などにとらわれない個性豊かな人たちと出会い、交流し、ぶつかり合いながら、そっと花開いていくように柔らかく成長する物語です。
『やわらかい砂のうえ』の感想
主人公の万智子が鳥取出身で、作中に鳥取砂丘が登場します。
万智子は大阪の街を歩いていて、時々砂のうえを歩いている感覚があるといいます。
知り合いもほとんどいない場所での生活に対するこころもとない万智子の心情が表現されているのですが、それを読んだ時に、小学生の頃の6月や7月の運動場での体育の時間を思い出しました。
毎年夏休みに母方の田舎に行っていたのですが、そのときに感じる日差しや空気のぬくもり具合を、初夏の体育の時間に、感じることがあったんです。
風が通り過ぎるみたいに一瞬。
ふわっと。
その感覚を思い出しました。
そのときの私は、不安ではなく、違う場所なのに同じものを感じる懐かしいような親近感だった気がしますが、そういった感覚が読んでいる途中でほろほろ出てきました。
万智子がお付き合いし始めた早田さんに感じる違和感に、「分かるー」と共感したり、そんな万智子をめんどくさいなと感じたり。
そういった共感が、『やわらかい砂のうえ』にはたくさんありました。
小説は、共感する部分がないと楽しめないわけではないですが、『やわらかい砂のうえ』は自分の手元に引き寄せて考え、共感できる作品でした。
ご興味があれば、ぜひご一読を。
余談
個人的に自分とかけ離れた世界観があるお話が好きなので、現実を生きる自分とつながってしまうような作品は避ける傾向にあります。
せっかくの趣味の楽しい時間に、現実を感じたくないという理由からです。
共感するから現実に引き戻されるというわけでもないですが、共感したくないけど、共感できないと面白くないということも分かる。
何を言っているか分からなくなっています。
私の頭は、みかん汁とすじで出来ています。
正直言うと、「面白いって思ったんだから、面白い」でいいじゃんといつも思ってます。
新社会人の皆さんは、私の言葉に惑わされてはいけません。
「面白いから面白いんです!」なんて言ったら、信用を失います。
気をつけてっ!
今回も、最後までお読みいただきありがとうございます。